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#7 正露丸?消毒液?
よく正露丸の臭いがするとか、消毒液のようと表現されるウイスキーです。

シングルモルトウイスキー 「 ラフロイグ 」
どうして正露丸のような香りがつくのか厳密には解明されていないと思います。
一般的なウイスキーの本では、アイラ島のピートを炊き込む際に付く香りである。とか、蒸留所が海沿いにあるので塩の香りもする。とか、そんな紹介をされているようです。
スコットランドのアイラ島には現在9つの蒸留所があります。
伝説のポートエレンも復活の予定なので、淡路島よりちょい大きいくらいの島に沢山の蒸留所がひしめいているスコットランドでもかなり特殊な島です。
ウイスキーの聖地とかいう人もいます。
このラフロイグを筆頭に個性的なウイスキーの多い島です。
この独特な香りはピートによってもたらされます。
モルトウイスキーには二条大麦が使われているのですが、いきなりアルコールは抽出できないので、大麦のでんぷんを糖化してから酵母を使って発酵させ、アルコールに変化させるそうです。(この辺までは大体ビールと一緒ですね)
二条大麦:主にウイスキーやビール、焼酎に使用される
六条大麦:麦飯や麦味噌等に使用される
最初に大麦を糖化させる為に必要な酵素を大麦自身の中につくらせます。
まずは大麦を発芽させ、乾燥させて成長を止めるそうです。
この後に粉砕してお湯に入れて糖化させるのですが、香りの付く工程は
「乾燥させて成長を止める」ときです。
このときにピートという泥炭を燃やし、大麦を燻して乾燥させます。
もちろんピートを燃やさずに大麦を乾燥させるウイスキーもあります。
泥炭(ピート)というのは石炭の一種らしいです。
その土地それぞれの植物が堆積してできた湿地帯の泥とのこと、乾燥させるとよく燃えるそうです。上記ラフロイグのあるアイラ島のピートは、海草が多く含まれているそうです。
問題の香りですが、正露丸の主成分はブナ等を熱分解させる際に発生する日局クレオソートという化学混合物だそうです。(正式名称は木クレオソート)
その主成分であるグアイアコールがあの独特な臭いの元となっているとのことです。
グアイアコールというのはフェノールの一種らしく、フェノールは様々な植物に含まれている化合物だそうです。
コーヒーやワインのポリフェノールは、様々なフェノールが集まった集合体・・・
でいいのかな?
消毒液のような香りはヨードチンキ等から感じられるヨード臭というのもだと思われます。
ヨードチンキのチンキとはチンキ剤のことで意味は「生薬をエタノールに浸したもの」らしく、本来はヨードチンキはチンキ剤ではないそうですが慣例として正式な名称になっているそうです。このヨードは海藻に多く含まれているそうで、ヨウ素ともいわれます。
水には溶けないそうですがアルコールとの親和性は高いそうです。
ヨードチンキはヨウ素をエタノール(アルコール)に溶かしたもので一般には2倍に希釈した希ヨードチンキのことを指すようです。
ヨウ素ってなんか危険な響きがしませんか?
大震災の原発事故で、毎日のようにヨウ素というワードを聞いていたことを思い出します。
当時はヨウ素を含む放射性物質が漏れ出たことが大きく報道されていました。
ヨウ素はのどにある甲状腺に取り込まれ、がんのリスクを高めるそうです。
それを防ぐ為にヨウ素剤を摂取しなければならないというニュースも見ました。
・・・??
ヨウ素を防ぐ為にヨウ素?
意味が分からなくって調べました。
調べた結果分かったことは、どうやら原発から漏れたヨウ素は「放射性ヨウ素」というもので、普段身近にあるヨウ素とは違うもののようでした。
素人が調べた範囲のざっくりとした認識ですが、甲状腺に取り込まれるヨウ素の量というものには限界があるらしく、一定以上放射性ヨウ素が入ってくると甲状腺がんのリスクがとても高まるそうです。(特に子供は要注意とのこと)
放射性ヨウ素が入ってくる前に、ヨウ素剤でそのスペースを満たしておけば放射性ヨウ素の甲状腺への移行を阻止できるという訳らしいです。
盛大に脱線しましたがw
このふたつの成分がアイラ島のピートには多く含まれているから、このような独特な香りがするのではないか・・・という説が有力のような気がします。
「ピートを燃やす」が「ブナ等を熱分解させる」ことと同じ働きをして香りが付くのでは?
と僕は考えています。「グアイアコールが海草に多く含まれる」かどうかは僕の調べた範囲だとよく分かりませんでしたが、そんなこともありそうな気はします。
まあ上記は殆ど受け売りなので信憑性を求められても困りますがw
リケジョ、もといリケオジでもありませんしね。
ラフロイグは個人的にも大好きなウイスキーの銘柄です。
その癖の強さから人を選ぶとよくいわれますが、殆どの日本人は好きだと思います。
癖になる香りですね。
上記画像のボトルは一番左を除いて、今は手に入れるのは難しくなってしまいました。
今では右から二番目の15年のボトルが一番珍しいのかな?
昔は普通に売ってたんですけどね。
ラフロイグはチャールズ皇太子のご用達なので、ラベルには彼の紋章が入っています。
ラベルの一番上に三本の羽根が広がっている紋章です。
画像を見れば分かる通り15年にはそれが見当たりません。
販売されていた当時、この15年がチャールズ皇太子の常飲しているボトルでした。
皇太子曰く
「酒飲んどるときまで、自分の紋章なんぞ見とうないわ!われ分かっとんのか?」
と似非関西弁で言ったかどうかは定かではありませんが、正面のラベルから紋章は外されたそうです。裏のラベルにはあります。
癖の強いガツンとくる荒っぽい酒
という印象が強いですが、ラフロイグは基本バーボン樽熟成なので甘く円やかです。
樽の説明は長くなるので省きます。(バーボン樽やシェリー樽の違い、樽のシーズニングや新樽、様々なフィニッシュ等キリがないので)

これはいまも売っているクオーターカスクの初期ラベルです。
これももう手に入らないボトルです。
アルコール度数は48度ありますが、とても甘くて円やかです。
スタンダードの10年より甘さが特徴的なボトルですね。
これが販売していた当時は、やっとウイスキー人気の低迷は底打ちして少し上向いてきた辺りでしたが、とてもお求めやすい価格で販売していたので大人買いしました。
まだ少し残っています。
いつかアイラ島に行ってみたいな~
などとウイスキーファンの多くが望んでいることを僕も考えています。
マニアなおっさんの独り言でした。
文責
桜栗英人