- sakura-tokyo
#10 人材募集の話
動画の待遇の話です。
僕は話し出すと大概ぶっちゃけた話になってしまいます。
ネット界隈は色んな意味で怖いので、僕などは発信すべきでは無いのかも知れませんが、何も発信せずに後悔するより発信して後悔するほうがいいと考え書くことにしました。
世の中には「片寄り」や「濃淡」というものがあって、業界内のお金の配分も例外ではありません。残念ながら僕たちは弱小なので「薄い方」に属しています。
これは完全に僕の力不足なので、お前が何とかせい!というのは全くその通りなのですがw
(こんな僕たちに仕事を出してくださる方々には本当に感謝しています)
現状入ってくるお金と出て行くお金は同等。弊社に残るお金はほぼありません。
但し、全ての原資は人です。
特に僕たちのような弱小は、人を育て、その育ってくれた仲間と共にもの造りをして行かないと成り立ちません。
そんな中で新人を如何に育てて行くか・・・
弊社の現状は出来高制をとっています。
昨年末に(見た目は全く変わっていませんがw)新しい会社になってから、少しでも良くしたいと考えて、社内にいる画力が身についてきたスタッフの待遇は僅かですが変えてきました。(モチロンこれからもっと良くしたいと考えています。)
もう10年以上前から事あるごとに言ってきたのですが、この業界は10数社から20社程度に纏まるべきだと思っています。
数多のスタジオがひしめく現状では格差は無くならないと思っています。
それが出来ないのであればグループを作ってその纏まりごとに格差を少しでも減らし、そして各グループの対外的な発言力を高めて行く、それしかないと思っています。
現状、調整弁になっている僕達みたいなスタジオは何れ無くなります。
僕達もただ座して待っているわけではありません。
僕の戯言に少しでも共感してくださる方々と共に、作品を作って行きたいと考えています。
ネットで文字に残すのは憚られるので曖昧にしか書けませんが、色々な意味でギリギリのところに来ていると感じています。
僕達みたいな弱小がそうなので、いま決断して変わらないと手遅れになってしまいます。
そんななかで動画の待遇の話です。
弊社では社内社外を問わず、各作品ごとに設定された動画単価をそのままに出しています。
(弊社に来る時点で単価調整されている場合もあるので完全ではないですが)
TVの場合は1枚あたり200円から250円の間でしょうか。
どんな作品でもこの単価はあります。
例えば社外から1枚220円の動画を30枚受けたら6600円+消費税
これ以上は頂けません。(こういった少額でも振込み手数料を引かれることもあります。)
内容の重たい動画はこの限りではなく、単価調整の相談に乗っていただけることが殆どですが、だからといって十分なほど稼げるかと問われるとやはり難しいでしょう。
世の中と照らし合わせると、理想はTVの普通のクオリティで1枚500円から600円でしょうか?到底無理な金額です。
動画の自動中割りに力を入れているスタジオもあります。
とても素晴らしい取り組みですが、動画の技術を覚えて原画職になると考えると弊社には少しそぐわないのかな・・・とも感じています。
動画を飛ばして第二原画から始めるスタジオもあるようですが、弊社は動画から始めます。
作画の工程で最終的に人の目に触れるのは動画なので、それを知らずして原画を描いてもそのカットをコントロールできないと考えるからです。
液晶タブレットでの作画に関しては徐々に導入しています。
これにはお金の問題が絡んでくるので動画での導入はまだ難しいと考えています。
デジタル作画にすることと画力が上がることは別なので(効率は上がりますが)一定の技術を身につけた後に導入することとして動いています。
以下は僕の主観を交えた視点です。
僕たちはいままで各個人がどのように絵を学習していたかの是非を問うたことはありません。但し、画力は必要です。
アニメ業界を志すのであれば、画力を上げる為の努力をすることは当然だと思います。
それは学校に行こうが、自主練であろうが差は無いと思います。
効率的に覚える為には学校がいいのかも知れませんが、いまはネットで得られる情報は多岐に渡っているので、その差はどのくらいあるのかは分かりません。
技術は違います。
個人で発表するものは別として、動画でお金を得るためには技術が必要です。
技術の習得にはある程度の時間と経験が必要です。
たとえ専門学校を出ていたとしても、スタジオに入って本番の動画を描くには一定の研修期間が必要です。(その期間の長短は個人差があります)
そういった意味で僕たちは(アニメーションの)学歴で判断したことはありません。
職歴(アルバイト含む)はその方の人となりが少し見えてくると思いますが
あくまでも画力です。
僕たちには専門学校のようなカリキュラムは無いですが、一定の研修期間を置き、実践を通して技術を教えていると考えています。
学校を疎かにするつもりはありませんが、学校に行かなくてもアニメーターになれます。
例えばスタジオに所属する塾のようなものと捉えることもできます。
学費は自分の生活費として時間を作ることに使い、その時間で実践として技術を習得する。
動画の素材として手元に来るカットは演出や作画監督がOKを出した素材です。
己の意識の持ちようによっては動画の技術以上の気付きを得られるかも知れません。
僕たちも単価以上に出すことはいまはできませんが、このままでいいわけではありません。
育ってくれた人材に少しでも単価以上に出せるようになりたいと考えています。
弊社にブランド力はまだ無いですが、共にブランドを作り上げて行こうと思ってくれる人材を募集します。
文責
桜栗英人