- sakura-tokyo
#12 縁の下の力持ち
僕は30歳になってから、縁あってこのアニメーションの業界にご厄介になりました。
それから20年少々、なんとかこの業界で食べさせていただいています。
業界内で大手といわれるところでは働いたことはありませんが、お仕事をいただいているので色々な会社とお付き合いしています。
但し、そこまでコミュ力が高い方でもないので「あちこちに知り合いが沢山いるんだぜ!」とか偉そうなことは口が裂けても言えませんw
そんな程度の僕ですが、今まで見聞きしてきたことから制作進行の仕事というものを、僕の独断と偏見で書いてみたいと思います。
分業化が進んでいる大手さんには当てはまらないことも多いとは思いますが、そういった事を気にしていると何も書けなくなるのでそこはご容赦ください。
制作進行の仕事・・・と書きましたが、どういった業務をしているかはネットに幾らでもありますし、ここで書いても意味が無いと書き始めた早々に気づいてしまいました。
なので弊社で働く制作進行の面々が、仕事に対してこんな姿勢を持ってほしい。
という僕の希望を書くことにします。
あくまでも僕の希望であり選択するのは本人です。
僕の言っていることが正解でもありません。
この先、取捨選択する際の一助となればいいと思ってここに記します。
僕は会社に頼らない自分自身の力を身につけてほしいと思っています。
ネットで少し探せばブラックな業界であることが幾らでも出てくる時代です。
そんななかでもこの業界に飛び込んで来てくれたのですから、長くこの業界で食べて行けるようになってほしいと思っています。
ただこの業界に居続けられればいいのではなく、自分の意志で仕事を選び、大事にしているスタッフを食べさせて行けるような人になってほしいと思っています。
(僕もまだまだですが、そうなりたいと努力しているつもりです)
それは自分自身の信用力を高めることに他なりません。
たとえ会社が無くなったとしても、自身の力があれば自分で仕事を作り出して行けます。
プロデューサーになりたい、企画を通したい、様々な夢があると思います。
それも自身の信用力があってこそだと思っています。
もちろん組織の中で降りてくるものとしてそういった仕事も存在します。
しかし、この業界を問わずいまは安定したものはどこにもありません。
どんな状況になっても生き残っていけるだけのスキルが必要だと考えています。
そのスキルという力の根源が信用です。
信用は一朝一夕では得られません。
制作進行の仕事とは、「スケジュールの管理」とか「各工程を繋ぐ血液である」とか、他にも色々言われていると思いますが、アニメーションの制作に携わる現場スタッフの状況や思い、モチベーションのバランスを取ることだと考えています。
いいアニメーションを作りたいと殆どのスタッフは思っていますが、それは常に生活と隣り合わせです。作品への関わり方もそれぞれ、掛け持ちの方も多くいます。
モチベーションの高さを押し付けず、相手の状況を考え、そのなかで自分達の仕事を優先してもらう・・・なかなか難しいです。
パーフェクトには誰もできません。
少しでも上手くやろうとすると相手の状況に合わせて行くことになります。
これが制作進行がブラックな仕事となる一定の割合の原因です。
でもここで汗をかくことによって、スタッフからの信用を得られるポイントにもなります。
間接的にクオリティに影響を及ぼすところでもあります。
但し、やり過ぎると自分が自身に対して一番ブラックになってしまいます。
自分自身のバランスも取る必要があります。
その負担を少しでも軽減する為に、いまは完全フレックスタイムにしています。
忙しいときは手を抜かず、山場を越えたら休んでもいい、1時間出勤で帰ってもいい。
誰かに頼めることもありますが、自分自身でやらなければならないこともあります。
こちらからの連絡は欠かさず、先方からの連絡も取れるようになっていれば、例え休んでいても信用を損なうことにはなりません。
各工程を繋ぐ血液となってスケジュール管理をするには、コスト感覚を身につけることも必要だと考えています。
それは大きなお金である必要はありません。
依頼した仕事の金額がどのくらいの時間を要するものなのか?
それで生活が成り立つのか?
こういった事を考えるだけで相手への接し方も変わってきます。
どんな仕事にもスケジュールと予算とキャパシティ(技術や能力を含む)があります。
その中で最良と思われるバランスを取る仕事が制作進行です。
辛いこともありますが、そうやって得てきた信用は自分自身の宝物になります。
会社に頼らない力を身につけてと書きましたが、まだ潰れるつもりはないのでw
そんな力をつけた制作進行がこの作楽クリエイトでそれぞれの力を発揮すれば、今とは違う景色を見られると信じています。それに値する会社にならねばとも考えています。
いま作楽クリエイトを信用して、次のステップの仕事を出してくださる方々がいます。
僕はその信用に応えたいと思っています。
制作進行の面々も同じだと信じています。
今回1名ですが、共に成長してしてくれる制作進行を募集します。
文責
桜栗英人