#35 制作の話
- sakura-tokyo
- 7月17日
- 読了時間: 6分
「制作」の話をしたいと思います。
弊社の制作は昔、業務委託でした。
というか実は僕も業務委託の制作でした。
僕が有限会社の作楽クリエイトに合流した時は、業務委託で東京スタジオの責任者をやってました。自分で選んだ道とはいえ、当時は無我夢中でした。
本当は某スタジオの立ち上げを一緒にやろうと、僕のこの業界唯一の友人(アニメーター)と約束していたのですが、色々と横やりが入って実現しませんでした。
その当時、僕が在籍していたスタジオにはとても愛着があったのですが、先々を考えると辞めた方がいいと思って(悪さをしたとか嫌われていたとかではないですよ!多分(笑)
仕事をお願いしていた作画会社(作楽クリエイト)に合流することにしました。
2004年のことです。
作楽クリエイト有限会社の設立は2002年
その前はキリュウ(すみません、漢字忘れました)というスタジオでした。
そのあたりのことは、聞いてはいますが当事者でないので書けません。
当時の作楽クリエイトは長野県の作画スタジオだったのですが、僕が合流したことで東京にスタジオを構えグロス受けを始めました。
制作は僕1人で、制作 兼 東京スタジオ所長(笑)
最初はメチャメチャで(笑)
グロス単価も激安で(笑)
週一で風呂に入りに家に帰るような、異臭を発する勤務状態でした(笑)
みな出来高制でしたが、制作は固定給を貰っているだけでありがたいと思っていました。
作画会社の時は単価から3割を会社が天引きしていました。
それは僕が合流してからも続いていました。
僕のわがままで東京はそのままの単価でしたが、長野は3割を引かれ続けていました。
いまでもこれは申し訳なかったと思っています。
お金を稼ぐという、僕の力が足りなかったからです。
この時のトラウマは多分今も引きずっています。
これが解消されたのは、経費節減のため東京スタジオを東伏見から引っ越してからでした。
多分あの時に解消されたはずです。
前作楽はアニメーター2人で作った作画スタジオでした。
仕上げさんも1人、多い時は3人いた時もありました。
(その僕よりも社歴の長い仕上げさんは、半所属で今でもいてくれています。感謝!)
最初の代表が途中で抜けた際、代わりの役員が必要とのことで僕が役員になりました。
業務委託から出資の無い雇われ役員です。
やっている仕事は変わりません。普通に制作進行もしてました。
前作楽が終わる少し前から、やっと制作進行を社員で採れるようになってきました。
何とか少し大きめな仕事をいただけたので、数人ですがメインスタッフにも固定給を支払えるようになってきました。
ですが、こちらでコントロールできない部分での遅延が酷く、加えてコロナのダブルパンチもあって、二代目の代表からもう続けられないと言われました。
引き継いでほしいと言われましたが、さすがに株主として(会社の持ち主として)前述の2人が残っている会社は引き継げないと思い断りました。
ただ東京には僕について来てくれた仲間や、僕が面接して採った子たちが残っています。
長野にも少なくなってしまいましたが仲間がいました。
投げ出す訳にはいきません。
そこで前社長から100万円を借りて今の作楽クリエイトを登記しました。
借りた100万円は、何とか自分で工面できたので1カ月くらいで返却しました。
動いていた仕事は全て僕がらみの仕事だったことと、会社をたたむとしても諸々の処分にお金も掛かるので(前代表の会社への貸し付け金を除く)銀行融資と東京スタジオの備品も含めて全てを引き取りました。
その後、公的機関から融資を受け設備投資をしてデジタル化したり、業務委託でやっていた制作も社員化して現在に至ります。
それなりに端折ってますが、一例として書いてみました。
大手さんのようなネットワークのない、底辺スレスレの生き残り術でしょうか(笑)
ただこのような変遷は、この業界内ではさして特別なことではないと思います。
ちょっと赤裸々すぎる(笑)というご意見もありそうですが、上っ面の話をしても意味がないのでリアリズムを追求してみました(笑)
僕の話の可否は置いておいて
スタジオだけではなく、制作だけでもなく、一定以上のキャリアのあるスタッフは多かれ少なかれ、現在の価値観にそぐわないこういった事柄を経験していると思います。
上記は僕の制作としての視点ですが、それぞれのスタッフの視点があり、様々な(劣悪な)環境の中で生き残ってきたスタッフがまだ現在の業界を支えています。
世の中の変化とともに業界の環境もかなり改善されてきました。
とてもいいことだと思います。
ただこういった環境や価値観の変遷は、今に限ったことではないと思います。
僕の若い頃もそうでしたし、これからも変わって行くでしょう。
全てではなくグラデーションで、今の常識も非常識になって行くんだと思います。
だから今が恒久的に正しいというわけでもなく、常に移り変わるものなのだというある種の諦観のようなものが必要なのかもしれませんね。
あっ、諸行無常か(笑)なるほど、流石お釈迦様(笑)
制作進行の仕事は、各部門を繋ぐ、それぞれのスタッフを繋ぐ、血液のような仕事と言われることもあります。
繋ぐべき方々には、それぞれの価値観に基づく考え方や想いがあります。
それを繋ぐ制作の「どういった配慮をしながら繋ぐのか」によって状況はいかようにも変わると思っています。
もしかしたらそれは、現在の価値観に反することかもしれません。
動けるかどうかは、今の世の中では完全に自己責任となってしまったような気もします。
言い方を変えると、自分の考え方ひとつで差別化ができるという利点がある。
と言えるかもしれませんね。
翻って僕はというと、古い価値観を押し付けていないか?
ということは常に問われていると思います。
価値観をアップデートして、より良い環境を準備できているか?
厳しい問いですね。
正直まだまだだと思います。
改善することを続けることで、猶予期間をいただきたいと切望しています。
制作進行の面接をした際
「制作進行の仕事とは、どういった仕事だとイメージされていますか?」
って質問をしたんですが
「お前はどうなの?」って頭の中に響いたので考えてみました(笑)
人さまにというより、自戒を込めた内容になってしまいました。
まぁある程度は「アニメが好き!」で乗り越えられるのかな〜とは思いますが、その先の疑問や疑念に対する一つの考え方と捉えていただければ幸いです。
僕程度の考えですが(笑)
制作の仕事を長く続ける一助となればいいなと思いつつ…
とっ散らかった、とりとめもない文章ですがこれで終わります。
文責
桜栗英人
